December 30, 2024

2024の振り返り。慌ただしくも単調、でもそれでいいじゃん(開き直り)。



生まれ育った国と違う国で生活することは、日々珍しい出来事の連続でエキサイティング、側から見ればなんだか華やかで刺激に満ちた毎日を送っているように見えるのかもしれません。

しかし、今までとどんなに違う暮らしでも、人は慣れてしまうものです。2023年10月から始まったこの国での暮らし、2024年は高いテンションを保ちながらも単調に過ぎていった、そんな1年だったかなと年の瀬に振り返っているところです。

。。。とはいえ、この1年のinstagramやtwitter(X)の自分の投稿を見返してみると、我ながら思いのほか動き回ってて、とても「単調に過ぎていった」とも言いがたく。

諸般の事情により行き先をここに書くことさえ憚られる某国某所への海外出張が4回。それとは別の、あんまり日本人が行かない某国への出張が2回。私的な旅行にも2回出かけ、それぞれエジプトのシャルムエルシェイクとルクソールに行ってる。その合間に日本への一時帰国が2回。毎回一時帰国中に東京と福岡を2往復して計4往復、加えて広島と群馬・四万温泉にも行ってる。都内某大学で講義もしたし、サッカラのピラミッドも見に行きました。

電車に乗った回数よりも、飛行機に乗った回数の方が多い1年だったようです。

熱を出して寝込んだのが2回、食あたりで休んだの1回、大掛かりな歯科治療というか手術をしたのも2024年。インフルエンザの予防接種で体調崩して休んだの1回、そういえば腎臓の精密検査も受けたし、髄膜炎の予防接種も受けてる。

これが全部、今年1年の間の出来事か。この出来事が全部収まるほどに1年は長く、慌ただしい1年でした。

とはいえ、ずっと出来事が続くのが日常になって、それがむしろ単調に感じられるのも事実で。「慣れ」とは、そういうものなんですね。

* * *

それなりに年齢を重ねたせいか、「5年後、10年後を見据えて人生を計画しましょう」「そのために来年はこうしましょう」とかいう話が響かなくなりました。

日々目の前にある課題を片付けて、日々それなりに暮らしていければいいのではないか。慌ただしいけれどそれなりの密度感をのある生活の中で、求められる自分の役割を果たして、感謝し、感謝される日々でいいのではないか。

僕は2025年も慌ただしくなりそうです。

みなさまの2025年が良い年になりますように!

December 25, 2024

お誕生日おめでとう、自分(2024)。


12月も半ばを過ぎると関係先も徐々に休暇モードになって動きが緩慢になり、うちの事務所もスタッフが長めの休暇を取る時期になります。

子どものいるスタッフは学校の冬休みに合わせて休暇を取り、日本にいるじいちゃんばあちゃんに孫と正月を過ごさせるため、いそいそと荷造りをして空港に向かいます。

僕は独り身だし、それなりに年も重ねてしまって事務所の責任者なんぞにされてしまっているので、年末年始は家族のいるスタッフに優先して帰国休暇を取ってもらうことにして、ここ何年かは任地でお留守番する役割をかってでています。最後に日本で正月を過ごしたのはもう、何年前のことだろうか。

大晦日の夜中だけは地元の若い人たちが通りに出て騒いだりするはずですが、普段より車も人も少なくなった町で、ワイン片手にパジャマのままぼんやりと映画を見たり本を読んだり。当地は年末年始よりもラマダンや犠牲祭の休暇の方が大事なせいか、幸い年末年始も休まない店が多いので、引きこもりに飽きたらジムに一汗流しに行ったり。

そんな過ごし方も嫌いじゃありません。

今年もそんな季節になりました。そして、そうやって一人で迎える僕の誕生日ももうすぐです。

お誕生日おめでとう。

June 18, 2024

年食ってなお、一人旅。


 最後に一人旅に出たのはいつだったろうか。

独り身で海外赴任したり、そこからまた別の国に出張したりを繰り返しているので、ずっと一人旅してるみたいなもんじゃないかと言われればそうなんですけど、でもまあ仕事から離れて飛行機と宿を私費で予約して出かけるのはまた別の話だ。

用務ではなく、
友達や家族と一緒ではなく一人で、
宿泊を伴い、
帰国や帰省でもない旅。

遡ってみると、2018年7月が最後でした。
そして今回が、2024年6月。6年ぶり。

一人で豪奢なリゾートホテルに泊まっても仕方ないので、ビーチに面していて、スキューバダイビングのショップに併設されたロッジみたいな宿を選んで、飛行機で1時間そこそこで行けるスキューバダイビングの聖地と称される場所に足を伸ばしてきました。

海の中は一面に広がる珊瑚の上に派手で不思議な色をした魚たちの影が濃く、また色や形が派手なだけでなく図体も大きい魚がそこかしこにいて、それはそれは美しく、そりゃ「聖地」と呼ばれるのも納得でした。

*   *   *

しかし悪い予感が的中。

僕は前回の一人旅から6才年をとっているし、また最近なにかと体調を崩すことが多くて低調なせいもあったのか、これまでにない激しい乗り物酔いの症状に見舞われ、嘔吐して顔面蒼白、ボートに同乗のみなさんに心配をかけてしまいました。

*   *   *

宿のベッドで安静。

そういえば僕は、人生最初の一人旅だったインドでも、ムンバイの安宿で体調崩したことがあった。あの時の自分と同じだ。水や食べ物を買いに行くのも億劫で、でも飲み食いしないと体調は回復しないし、青い顔をして表に出たんだ。あの時と同じだ。

一人旅。
自由で気ままなんだけど、なんでも自分で始末をつけなきゃならない。

ムンバイの安宿で気怠く回る天井のファンをうらめしく眺めていた僕は、まだ社会に出たばかりで何者でもなかった。しかしあれから年月も経って、今の僕にはそれなりの肩書が付いたりなんかしてます。それでもこうやって、ダイビングショップのロッジで一人寝ていると、あの時の僕が今の僕の中にちゃんといるのに気付いたりします。

幸い今回は、激しい症状だったとはいえただの乗り物酔いなので、夜にはご飯も食べられるようになり、翌日は海に浸からないエクスカーションに出かけるまでに回復したのですが。

優雅な独身貴族の一人旅、とはなかなかいかないのですが、自分が自分であるために、たまには一人旅に出ないといけない気がします。

May 07, 2024

「スローシャッター」への共感と嫉妬。


学生の頃からバックパッカーもどきの旅行を繰り返し、社会人になってもその癖は止まず、いつしか海外出張や赴任を繰り返す生活になりました。自分で旅をして自分で未知の土地を歩いてきたので、あえて他人の旅日記を読む気にはならず、旅行記や紀行文を読むことはあまりありませんでした。


思えば僕は、業種は違えど、この本の著者の方と同じようなことをやっています。もちろん同じ経験をしたわけでもないし、訪れた町も違うけど、日本人がほとんどいない町に出かけ、こんな仕事をしてなければ決して出会わなかった人たちと出会い、刹那ながら何か人であることの本質に触れるような時間を過ごしてきました。


すごく遠くて、すごく違う土地柄で、なんの必然性があったのか分からないのだけど、その人に出会う。空港に行き、飛行機に乗り、その町に着き、人と出会い、仕事をし、飯を食う。きっと多くの出張者や駐在員が、それぞれの滞在先で、高揚感と緊張感を微熱のように抱えながら繰り返してきたことです。


「スローシャッター」(田所敦嗣著)には、その情景と空気感が鮮やかに収められていました。同じような生活をしてきた者の一人として共感し、またそれを言語化し1冊の本に収めた才能に嫉妬する本でした。


https://www.amazon.co.jp/dp/4801492622/

April 27, 2024

海外赴任:2つの暮らしを切り替える。

 


海外赴任をしてしばらく経ちます。
割とハードシップの高い国でのややこしい仕事なので、概ね1年に1回くらいは長めの休暇をいただいて日本に帰国します。でないと持たない。精神的にも肉体的にも。

そんな一時帰国は、1年分の「私生活」を1か月に詰め込むような過ごし方なります。家族親戚友人知人、お世話になった人やお世話したい人と会い、好きなお店や気になっていたお店に行き、海外で手に入らないものを買い集めるのです。

海外にいるときの自分と、日本にいるときの自分の両方を知っている人は少なくて、2つの別の暮らしをしているような感覚です。

とはいえ、二重生活というのとはちょっと違う。裏表があるとか、どちらかを隠しているとかいうわけではないし。ただ、1年に1か月くらい、ものすごく違う場所で、ものすごく違うリズムの過ごし方をするのです。使う言葉まで変えて。

海外に在留届を出している日本人は100万人以上いらっしゃいます。その方々がどんな割合で海外と日本を行き来されているのかは人それぞれでしょうけど、2つの別の暮らしを切り替える感じを分かっていただける方も多いんじゃないでしょうか。

旅には少し似てる。ただ、旅は日々の生活があっての非日常で、日常の暮らしから飛び出したところにあるのだけど、僕のような海外赴任者にとっては海外暮らしも日常の暮らし。海外と国内、どっちが主でどっちが従という差がない。2つの別の暮らし。

そんな2つの暮らしを切り替えながらもう相当の年月を過ごしてきましたが、それでもまだ、飛行機に乗っている時間だけでは2つの暮らしを上手に切り替えることができなくて、日本の家でも海外の家でも、帰り着くたびにぐったり、ぼんやりしてしまうんですよね。

ということで、一時帰国から海外の家に戻って、ようやく日本滞在の微熱も冷めてきたところです。

日本滞在中にお付き合いいただいたみなさま、ありがとうございました。また今後ともどうぞよろしくお願いいたします。

February 03, 2024

話しても話さなくても。



元々饒舌な方ではないのだけど、さらに口数が減った実感がある。居酒屋やバーで気の置けない友達と他愛のないことをしゃべるとかいう機会がほとんどない日々が続いて、雑談の感覚が鈍っているというのは、ある。


それもあるのだけど、年を重ねて経験を踏んでたくさんのことを見聞きしたせいか、その場の話されていることについていろんな考えが巡ってしまって、一言まとめられなくて、考えている間に次の話題に流れていってしまう感じ。


で、僕が話さなくてもみんなが面白おかしくその場を盛り上げていて、まあそれを聞いてればそれで満足したりして。静かにだれかと対話するのは苦ではないんだけど、複数人の雑談、特にお酒の席での話術は以前にも増してヘタクソになった。


ニューシネマパラダイスという名画で、青年になったトトが老いた映写技師のアルフレードの寝室を訪ねて「引きこもって、あまり話もしないと聞いたよ?」と聞くシーンがある。アルフレードは「話しても話さなくても同じことだ」と答える。


昔はそれを、人生を感じさせる渋いセリフだなと思ったけど、今なら実感を伴って理解できる。僕も老いたよな。

December 29, 2023

また1年が経ちました。

 SNSのおかげで、今年も世界中に散らばった友人知人からお誕生日のお祝いメッセージをいただけました。ありがとうございました。

また1年が経ちました。


2023年、個人的には慌ただしい1年でした。

春、体調崩して夜中に気を失って倒れ、歯を折るやら打撲やら縫合を要する裂傷やら。その数日後に久しぶりの日本で、治療の傍ら、東京、福岡、高知。日本から戻ったらまた片道4便を乗り継いでジュネーブ出張。夏には反対に大物出張者の受け入れ。秋、不安定な航空便に悩まされながらの海外から海外への引越し。その合間に東京にちょっと寄って所用を済ませたり。そして、新しい街での生活の立ち上げ。それがようやく落ち着いてきたと思ったら、もう年末、誕生日です。早い早い。

期待され、お声がかかり、会おうと言ってくれる人がいて、仕事があるのはありがたいことです。そうやって慌ただしくしているうちが花なのかと思ったりもしますが、いつまでこんな生活が続けられるのかと、ふと振り返ることもあり、鏡を見るとずいぶん老けた自分がいます。

特に体力の衰えを感じているわけでもなく、なんならベンチプレスは前よりも重量上がるくらいなんですが、僕によく似た骨格の母方の叔父2人はいずれも50代の時に病が見つかって日本人男性の平均よりずいぶん早く亡くなり、母も今の日本では長寿とはいえない年齢で他界したことが頭をよぎります。

まあいい。

明日は明日。目の前にある選択肢、世の中にとって、自分にとって、よりマシな方を選びながら、前に進むのみです。

みなさま、よいお年を!